
顔のEラインの測定値は、唇の点Lから、鼻尖点Prnと軟組織ポゴニオンPog′を結ぶ直線までの、符号付き垂直距離です。計算式:d = ((xPog′ − xPrn)(yL − yPrn) − (yPog′ − yPrn)(xL − xPrn)) / √((xPog′ − xPrn)² + (yPog′ − yPrn)²)。比率や角度ではなく、距離そのものです。上唇では上唇点、下唇では下唇点をLとして測定します。
Prnは、横顔で鼻先が最も前方に出ている点です。Pog′は、軟組織の顎先で最も前方に出ている点です。上唇点と下唇点は、それぞれ上唇と下唇の正中線上で最も前方にある点です。Rickettsは、審美平面やE平面とも呼ばれる、この鼻先と顎先を結ぶ基準線を1968年に記述しました。
このガイドでは、直線に対して直角に測った最短距離を使います。方法によっては、代わりに水平方向のずれを使います。ほかの横顔の基準線には、鼻柱、鼻下点、上唇を端点に使うものもあります。こうした定義の違いで、数値は変わります。符号の決め方が逆でも数値は変わります。計算式の符号は、画像内で顔が向いている方向によって変わります。ここでは、直線に対して顔が向く側をプラス、直線より後方をマイナスとするように、符号を付け直します。
写真にRickettsのEラインを引く方法
- 真横から撮影します。頭は力を抜いて自然な位置に保ちます。まっすぐ前を見ます。唇はすぼめたり、無理に閉じたりせず、自然な状態にします。
- カメラから離れます。腕を伸ばした距離での広角自撮りは避けます。カメラを顔の中央あたりの高さに置き、控えめにズームして頭部を画面に収めます。
- 4つの点に印を付けます。見えている鼻先にPrn、見えている顎先にPog′、上唇にLs、下唇にLiを置きます。
- PrnとPog′を結びます。この線分がEラインです。LsとLiのそれぞれから垂線を下ろします。
- 撮影と測定の条件を記録します。元の写真、各点の位置、ピクセル単位の距離、符号の決め方を保存します。ミリメートル単位で測るには、横顔と同じ平面に、実際の寸法が分かる尺度が必要です。
撮影条件は重要です。Fernández-Riveiroらは、2002年の写真測量研究で、自然な頭位で撮影した規格化された横顔写真を使いました。Amuk、Topsakal、Baser Keklikciは、2019年に45人を対象として、4つの頭位設定方法を検証しました。鼻先、唇、顎先など、顔で見える複数の部位の突出の見え方が、頭位の設定方法によって変わりました。
撮影距離も重要です。Třebickýらは、2016年のPLOS ONEの研究で、同じ45人をフルサイズ換算で50、85、105 mmの設定で撮影しました。頭部の大きさを同程度に保つため、撮影距離を変えました。それでも、測定した顔の形状は画像間で異なりました。この研究では、Eライン自体は検証していません。繰り返し撮影する際に、同じ端末、ズーム、距離、高さ、頭位をそろえる必要がある理由を示しています。
計算例:上唇と下唇の距離を求める
右を向いた、人工的に作成した横顔を考えてみます。Prnのピクセル座標は(100, 40)、Pog′は(100, 200)です。そのため、Eラインはx = 100になります。Lsは(94, 105)、Liは(96, 130)にあります。上唇は直線より6 px後方にあります。下唇は直線より4 px後方にあります。
これらはピクセル単位の距離です。ミリメートルではありません。例として、同じ平面の尺度が1 mmあたり10 pxを示していれば、測定値は0.6 mmと0.4 mmに換算できます。通常のスマートフォン写真には、標準で信頼できる尺度はありません。トリミングやサイズ変更によっても、ピクセル数は変わります。
次に、印を付けた鼻の点だけを、(100, 40)から(103, 40)へ3 px動かします。ほかの点はすべて固定します。計算上の上唇の距離は、6 pxから約7.8 pxになります。この人工的な唇自体は何も変わっていません。基準点の小さな誤差によって、測定値が約30%変わりました。
撮影後の画像だけを回転させても、垂直距離は変わりません。撮影前に頭を傾ける場合は異なります。三次元の投影が変わり、皮膚上で最も突出して見える点も変わる可能性があります。
唇が動かなくてもEラインが動く理由
| 変化 | 測定値への影響 | そこから判断できること |
|---|---|---|
| 鼻先がより前に突出して見える | Prnが前方へ移動し、直線が回転して唇から離れます。 | 唇がより後方にある測定値になる場合があります。唇が薄いことや、後退していることの証明にはなりません。 |
| 軟組織の顎先がより前に突出して見える | Pog′が前方へ移動し、直線の下端がずれます。 | 上唇と下唇の距離がどちらも変わる可能性があります。写真だけでは、顎の骨や噛み合わせを切り分けて評価できません。 |
| 唇がふっくらしている、すぼまっている、または力が抜けているように見える | 直線の両端の点が固定されたまま、LsやLiが動く場合があります。 | 測定値が表すのは、その瞬間の唇の状態です。それだけで恒常的な特徴を示すものではありません。 |
| ひげや影で顎先の輪郭が隠れる | Pog′の位置を一貫して定めにくくなります。 | 点の位置を決める際の不確かさが、結果を大きく左右する場合があります。推測で置いた点を、正確な位置として扱わないでください。 |
| 頭位、撮影距離、ズームが変わる | 見える突出の程度と基準点の位置が、同時に変わることがあります。 | 条件をそろえた写真同士だけで比較します。条件が合わない場合は、顔の変化と考えず、撮り直す目安にします。 |
このため、Eラインは部位同士の位置関係を表すものです。測定値には、鼻の突出、軟組織の顎先の突出、唇の位置が組み合わされています。どれか1つの特徴だけを測っているわけではありません。鼻が大きく見えても、見える鼻先の位置が動かなければ直線は変わりません。鼻の幅や高さは、計算式に含まれていません。顎の構造と唇のボリュームは、別々に観察する必要があります。

万人に共通するEラインの理想値はありません
過去の基準値は、美しさの決まりではありません。特定の方法と対象集団から得られた値です。Alcaldeらは、2000年に日本人成人211人の頭部X線規格写真を分析しました。測定値は白人の基準データとは異なり、著者らは、集団の標準値を治療目標にすべきではないと注意を促しました。
年齢によっても、両端の点は動きます。Buschang、Fretty、Campbellは、2011年に成長期の患者79人を調べました。Eラインを含む5つの横顔の基準線に対して測った変化は、実際の下唇の移動との相関が弱いものでした。Eラインでは、基準となる鼻や顎先が変化することで、見かけ上の移動方向さえ誤解を招く場合がありました。この結果は、経時的な変化に関するものです。条件を管理した1枚の画像で、位置関係を記述するためにEラインを使う意義まで否定するものではありません。
写真での測定は、骨格の測定や臨床的な測定ではありません。1つの投影像で、目に見える軟組織の点がどこにあるかは示せます。骨の位置、歯の位置関係、呼吸機能、治療の必要性は判断できません。集団の平均値を、個人の目標にすることもできません。
身だしなみにEラインを活用する方法
横顔全体の見せ方を考える参考として使い、スタイリングを決める指示にはしないでください。顔型とEラインは、異なる問いに答えるものです。Eラインが扱うのは、横顔にある4つの点です。顔型は、主に正面から見える輪郭を表します。顔型と顔の比率の違いのガイドでは、それぞれの役割を分けて説明しています。
- 髪:頭頂部、側頭部、顎まわりのボリュームによって、横顔の見え方は変わります。Eラインだけでヘアスタイルは選べません。
- 眉とメガネ:どちらも目の周囲や顔の上部に位置します。通常は、正面や斜めからの見え方のほうが重要です。フレームの幅、眉のライン、頬への接触は、メガネと顔型のガイドで別々に確認してください。
- ひげ:ひげは顎先の輪郭の見え方を変え、Pog′に印を付けにくくすることがあります。その見え方を試したい場合は、ひげスタイルのガイドで選択肢を比較してください。
- メイク:唇の色、リップライナーを引く位置、鼻や顎先に当たる光によって、写真で感じるバランスは変わります。見える基準点そのものを描き直したり、覆い隠したりしない限り、元のEラインの測定値は変わりません。
どの方法も必須ではありません。役立つのは、条件をそろえた正面、横顔、斜めからの写真で、スタイリングの変更が望む見え方につながるかを確かめることです。
知りたいことに合う次のチェックを選ぶ
次に知りたいのが横顔の突出の程度ではなく顔型なら、端末内で使える無料の顔型診断を試してください。アカウント登録やメールアドレスなしで、正面写真から見える輪郭を推定します。Eラインを測定したり、骨の構造を明らかにしたりするものではありません。

Oscar Nascimento
GlowUp Face 編集ライター
Oscarは、科学的根拠に基づくスキンケア、ヘルスケア、ルックスマキシング、見た目に関する社会・経済研究について執筆しています。
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